全国大会

1998年秋季大会

1998年度金融学会秋季大会は,10月24・25日大阪市立大学で開催された。約400名の参加をえて、大会は成功裏に終了した。

初日は堀内昭義会長の講演に始まり,午前には5会場で合計14、午後は10の有意義な報告と討論とが行われた。また趙海寛中国全融学会副会長の特別講演があった。大会2日目も午前に17報告、午後には共通論題について4名の報告と全体討論とが行われた。

10月24日(土) 午前の部
午後の部
10月25日(日) 午前の部
午後の部

プログラム 第1日 10月24日(土)

午前の部

1.会長講演 <9:30〜9:50>

A会場

「日本の金融危機を考える」日本金融学会会長
束京大学 堀内昭義氏
2.自由論題

A会場
司会者 :名古屋大学 千田純一氏

(1) 転換社債市場と株式市場との関係報告者:大阪大学 谷川寧彦氏、
郵政研究所 古家潤子氏
討論者:関西学院大学 平山健二郎氏
(2)米国税制でのスワップ・キャップ評価の問題点報告者:慶應義塾大学 辻 幸民氏
討論者:大阪大学 谷川寧彦氏
(3)債券税制はレポ市場にいかなる影響を与えているか報告者:甲南大学 中島将隆氏
討論者:専修大学 小林襄治氏

B会場
司会者:九州大学 川波洋一氏

(1)債権流動化による経済的影響について報告者:大阪大学大学院 荻原統宏氏
討論者:立命館大学 堀 敬一氏
(2)債権流動化と金融システム改革報告者:日本資産流動化研究所 高橋正彦氏
討論者:神戸大学 藤原賢哉氏

C会場
司会者:干葉商科大学 齊藤壽彦氏

(1)バブルの膨張・収縮と企業金融報告者:浜松大学 竹田 聡氏
討論者:神戸山手女子短期大学 久富健治氏
(2)R0E重視の企業戦略報告者:東海銀行 平下克己氏
討論者:名古屋大学 家森信善氏
(3)経済のバプルは防げないのか報告者:作新学院大学 高橋邦和氏
討論者:神奈川大学 鈴木芳徳氏

D会場
司会者 :長崎大学 相沢幸悦氏
討論者(共通):関西学院大学 春井久志氏、流通科学大学 羽森直子氏

(1)欧州通貨統合と欧州経済
−ユーロ導入の実物経済的インパクト−
報告者:國學院大学 星野 郁氏
(2)欧州通貨統合と貸本市場報告者:福岡大学 岩田健治氏
(3)ユ一口導入と欧州中央銀行 (ESCB)の金融政策報告者:日本銀行 大橋千夏子氏

E会場
司会者:成城大学 村本 孜氏

(1)信用組合の規模と範囲の経済性報告者:神戸大学大学院 岩坪夏門氏
討論者:大阪府立大学 異木祥弘氏
(2)不況下の金融ビッグバンと日本経済・地域経済報告者:福島大学 下平尾勲氏
討論者:熊本学園大学 坂本 正氏
(3)金融自由化時代の地域金融機関経営報告者:池田銀行 南地伸昭氏
討論者:中京大学 由里宗之氏

午後の部

3.自由論題

A会場
司会者:甲南大学 山本栄治氏

(1)新興市場における間接金融偏重と企業財務の脆弱性に関する考察報告者:経済企画庁 中澤 裕氏
討論者:大阪市立大学 佐合紘一氏
(2)マレーシアの金融危機と構造的問題−社会的安定のコスト−報告者:中央大学・大阪大学 首藤 恵氏
討論者:一橋大学 奥田英信氏

B会場
司会者 一橋大学 清水啓典氏

(1)1975-85年の日銀金融政策の実像−
いわゆる「マネーサプライ重視政策」の検証−
報告者:岡山大学大学院 角南英郎氏
討論者:香川大学 藤井宏史氏
(2)Asymmetric Effects of Money Supply Shocks and Trend Inflation報告者:広島大学 千田 隆氏
討論者:神戸大学 宮尾龍蔵氏

C会場
司会者:大東文化大学 高山洋一氏

(1)アメリカ商業銀行の割賦信用と短期金融市場報告者:松山大学 掛下達郎氏
討論者:広島修道大学 守山昭男氏
(2)近代初期ロンドンをめぐる国際的多角決済システム報告者:佐賀大学 楊枝嗣朗氏
討論者:新潟経営大学 松本久雄氏

D会場
司会者:大阪大学 筒井義郎氏

(1)都市階級別データによる預貯金選択の分析報告者:横浜国立大学(郵政研究所) 井上 徹氏
神奈川大学(郵政研究所) 宮原勝一氏、
国民金融公庫 深沼 光氏
討論者:神戸商科大学 野間敏克氏
(2)貯蓄動機・遺産動機・親子同居の日米比較報告者:大阪大学 チャールズ・ユウジ・ホリオカ氏
討論者:大阪市立大学 滋野由紀子氏

E会場
司会者 東北大学 鴨池 治氏

(1)金融仲介組織の垂直的統合と分離報告者:東京国際大学 清水 誠氏
討論者:滋賀大学 井出一郎氏
(2)都市銀行の合併効果報告者:京都大学 橘木俊詔氏、
住信基礎研究所 羽根田明博氏
討論者:慶應義塾大学 吉野直行氏
4.特別識演

A会場
司会者:神戸学院大学 三木谷良一氏

「中国人民銀行の中央銀行化にむけて」中国金融学会副会長 趙 海寛氏
通訳 熊本学園大学 蔡 剣波氏

午後の分終了後、会員総会が開催された。なお、新入会員は以下の23名(敬称略、50音順)会員総会終了後、大阪市立大学講堂において、懇親会が催された。200名の会員が秋の夜長を楽しんだ。

プログラム 第2日 10月25日(日)

午前の部

1.自由論題

A会場
司会者 :広島女子大学 伊東和久氏

(1)アジア金融危機とグローバル・キャピタリズム報告者:徳山大学 南雅一郎氏
討論者:日本証券経済研究所 伊豆 久氏
(2)短期資金を含む一般均衡モデルによるアジア経済の分析報告者:慶應義塾大学 吉野直行氏、
青山学院女子短期大学 藤丸麻紀氏
討論者:一橋大学 小川英治氏
(3)アジア通貨危機と国際通貨制度報告者:日本大学 緒田原滑一氏
討論者:日本大学 宅和公志氏

B会場
司会者:京都大学 古川 顕氏

(1)EU単一金融政策と財政緊縮報告者:経済企画庁 江川暁夫氏
討論者:神戸市外国語大学 山上宏人氏
(2)銀行信用と金融政策の効果報告者:同志社大学大学院 田中久美子氏
討論者:大阪大学 筒井義郎氏
(3)中央銀行と為替レート
−改正日本銀行法の問題点−
報告者:拓殖大学 武田哲夫氏
討論者:文教大学 鈴木恒一氏
(4)日銀の金利政策の変更要因報告者:横浜市立大学 松浦克己氏、
神戸大学 竹澤康子氏
討論者:大阪大学 本多佑三氏

C会場
司会者:同志社大学 藤原秀夫氏

(1)為替レートにおけるintrinsic bubbleの実証分析報告者:一橋大学大学院 熊本方雄氏
討論者:広島大学 矢野順治氏
(2)OECD14カ国のパネルデータを用いた実質為替レート決定要因の分析報告者:東京大学大学院 本西泰三氏
討論者:信州大学 徳井丞次氏
(3)Determination of Real Exchange Rates for East-Asian Countries報告者:新潟大学 宮越龍義氏
討論者:早稲田大学 秋葉弘哉氏

D会場
司会者 :九州大学 堀江康煕氏

(1)メインバンク関係変化の計量分析報告者:京都大学大学院 阿萬弘行氏
討論者:関西学院大学 田中 敦氏
(2)企業金融の構造変化とガバナンス構造の変容:
1980年代におけるメインバンクの機能転換
報告者:早稲田大学 宮島英昭氏、早稲田大学 蟻川靖浩氏
討論者:青山学院大学 清水克俊氏
司会者:関西大学 岩佐代市氏
(3)公的規制が生命保険会社に与える影響報告者:高千穂商科大学 大野早苗氏
討論者:名古屋大学 家森信善氏
(4)Did Amakudari Undermine the Effectiveness of Regulator Monitoring in Japan?報告者:青山学院大学 清木克俊氏
討論者:京都大学 橘木俊詔氏

E会場
司会者:神戸大学 宮尾龍蔵氏

(1)非線形時系列モデルを利用したオプションプライシングモデルの考察報告者:京都大学大学院 足立光生氏
討論者:日本証券経済研究所 岡村秀夫氏
(2)ユーロカレンシーの理論的検討報告者:福山大学 尾田温俊氏
討論者:近畿大学 高屋定美氏
(3)動学的最適化問題の実験的研究−日米比較−報告者:早稲田大学 晝間文彦氏
討論者:立教大学 黒木龍三氏

午後の部

2.共通論題<13:30-15:30>
「アジアの通貨危機と日本の役割」司会者:国際東アジア研究センタ一 市村真一氏
関西学院大学 久保田哲夫氏
報告者:大阪大学 高阪 章氏、
東京大学 (世界銀行) 河合正弘氏、
21世紀政策研究所 鹿野嘉昭氏、
専修大学 壽崎雅夫氏

共通論題終了後、片岡尹大会実行委員長が「閉会の挨拶」を述べ、2日間の大会を終了した。共通論題となった「東アジアの通貨危機」は、当時のホット・イッシューであり、自由論題報告のなかにもこれをテーマとしたものがいくつか見られた。共通論題の会場には、最後まで100名以上の参加者が活発な討論を続け、本大会を意義深いものとした。
(大阪市立大学)