学会紹介

会長挨拶

地主敏樹

経済の金融的側面を学び研究するには、関連する経済理論を修得するだけでなく、金融の歴史と制度をも学ぶ必要があると、言われます。ただ、大学の一つの講義でその全てを網羅することは、なかなか難しいのではないでしょうか。研究者としても、その全てのトピックスにおいて、研究業績を挙げる人は少数でしょう。しかし、日本金融学会には、その全てが揃っています。金融に関わる内容であれば、どのようなトピックスの研究でも発表してコメントをもらうことができますし、どのような分野の質問でも答えてくれる専門家も会員の中に見つけることができるでしょう。日本金融学会は、金融に関する唯一の総合的な学会なのです。

日本金融学会の全国大会や諸部会には研究者だけでなく、金融実務に携わる方々も、研究発表者や討論者あるいはパネリストとして、参加されています。特別講演には、著名な研究者はもちろんのこと、歴代の日本銀行総裁や金融庁長官もお招きしています。昨秋の大会では、楽天グループ会長に先端的なフィンテック事業を含んだ同グループの経営方針について講演していただきました。今春の全国大会では、日本銀行の金融システムレポートや、日本証券業協会の投資家アンケート調査が、報告される予定となっています。コロナ禍の中で全国大会はオンライン開催が続いておりますが、パンデミックが収束すれば対面開催にもどり、伝統の懇親会も再開できることでしょう。日本金融学会は、金融に関する産官学交流の場を提供しているのです。

日本金融学会は2つの学会誌を刊行しています。『金融経済研究』は、投稿論文を中心に書評や展望論文などを掲載しています。日本語で書かれた経済学論文のハイレベルなレフェリー誌として独自の位置を占めており、今春には第43号が刊行される予定です。なお、東日本大震災や世界金融危機などの重要テーマに対しては特別号も刊行されてきており、現在はMME理論をテーマとした特別号が予定されています。Japanese Journal of Monetary and Financial Economicsは、英語論文を対象としたレフェリー制のオンラインジャーナルです。比較的新しい雑誌であり、2020年度でNO.8まで刊行されています。短期間での掲載判定を基本方針としており、採用が決定するとすぐにオンラインで掲載されます。両学会誌への会員のみなさまの論文投稿をお待ちしております。

日本金融学会は、日本の経済学関係の学会の中では最も歴史が長い学会の一つです。現在の日本経済では、低金利の継続とデジタルトランスフォーメーションの進行が併存する中、金融業はダイナミックな変化を遂げつつあります。その変革の実態に対応しながら、惹起されるであろう諸問題への解決に向けて、研究活動を通じて経済社会に貢献する学会であり続けたいと願っております。